イーロンマスクのNeuralink社が臨床を進めている、話題の「Blindsight」についてまとめてご紹介‼
イーロンマスクのNeuralink社がコンピュータ・ゲームの脳インプラントを進めるに当たり平行して研究を開始した、人工視覚とも称される「Blindsight」...去年、2024年から「視神経が萎縮・壊死していても再び目が見えるようになる」と話題になっています。
そんなBlindsightの臨床事件が年末から本格化し初めて人間に適用されるということで、今回の記事ではその概要・進捗状況等について簡単にまとめていきたいと思います。
✡ 参考記事等は記事末尾に記載しています。
🧠 前提: 脳インプラント研究について
Blindsightについてご説明するためには、まずその基となっている研究である「脳インプラント」についてご紹介した方がわかりやすいのではないかと思います。
元々イーロンマスクをはじめ、神経科学・生化学・ロボット工学などの専門家らが共同設立したNeuralink社では肢体不自由・全身まひの患者でも利用できる新技術の開発を進めており、Blindsightの基となった脳インプラント技術についても、「身体が動かせなくてもパソコン・ゲームを操作し、意思疎通等が行えるように」という目的で始められました。
なお詳しくは次項でご紹介しますが、この研究では既に人を対象とした臨床実験が繰り返されており、ALS患者でも自由にPCを操作し、ゲームを楽しみ、デバイスを通しての意思疎通・会話を行うことができるようになるなど成功を重ねています。
そして脳内に埋め込んだ電極から指示を対外の端末に出力していた脳インプラント技術の仕組みを反転させ、カメラから入力された映像を脳の視覚皮質に埋め込んだ電極へ送ることで視覚情報の伝達を人工的に行おうとしたのが今回ご紹介する、「Blindsight」...という関係性になっています。
前提については以上です。次項から脳インプラントの成功例と、Blindsightの詳細についてご紹介します。
🧑⚕️ 脳インプラントの成功例
脳インプラントの臨床実験はBlindsightに先立って既に複数症例で行われており、主にALS(筋萎縮性側索硬化症)患者でも自由にPC・ゲームを操作できるようにするという目的で成功を収めています。
なお現状の実験では脳内にコンピュータそのものを埋め込むのではなく、キーボードやマウス・コントローラのように体外の端末を思考操作できるインターフェイスを組み込むような形になっており、接続先デバイスを切り替えることが可能とのことです。
以下、主な成功例をご紹介します。
- 成功例1: 「Telepathy」と名付けられたインプラントの初成功例
- ・発表時期: 2024年1月
- ・対象: 外傷性脊髄損傷
- ・概要: 初の脳インプラント成功例。思考操作によりビデオゲームやパソコンの操作・インターネットの閲覧・SNSへの投稿等基本的な動作が全て思考のみで行えるようになった。
- 成功例2: 電極数追加による検証
- ・発表時期: 2024年8月以前(詳細不明)
- ・対象: 外傷性脊髄損傷
- ・概要: 対象の症例・実験の目的は1例目とほぼ同様。埋め込む電極数を1024個まで増やし反応速度の向上を図った。
- 成功例3: 声を失った患者が意思疎通できるように
以上、脳インプラントの成功例でした。上記のような全身麻痺のある人でも、自由にパソコンを操作できるようになるのが脳インプラントの魅力です。
そして出力があるなら入力も...ということで、いよいよ本題。「Blindsight」についてご説明していきます。
👀 Blindsightの概要と今後について
記事冒頭でも少し触れましたが、Blindsightとは脳インプラントの仕組みを反転・適用することで人工的に視覚を生み出すという技術です。具体的には脳の「視覚皮質」という視覚情報を処理する領域に微小電極アレイを埋め込み、外部カメラから受信した情報に基づいてニューロンを刺激することで映像を届けるといったメカニズムに基づいています。
なお本技術は眼球や視神経を経由しないため、視神経が萎縮・壊死してしまっている場合でも視覚野さえ無事であれば適用が可能であり、更にイーロンマスクがXにて発信した「生まれつき目が見えなかった人でも、初めて目が見えるようになるかもしれません」というコメントからは、10年以上前に実験が行われていた「Bionic Eye」等と違い先天性の全盲でも適用できる可能性があることが示唆されています。
前項でご紹介したように脳インプラントの臨床実験で成功を重ねたNeuralinkは、次なるステップとして2025年末までにBlindsightの臨床を開始するとの発表を行っています。初期段階では「低解像度の視覚」しか提供できないことを明言しているものの、イーロンマスクは「時間が経つにつれて、このインプラントは超人的な視覚を提供できるようになるでしょう」とステージ上で述べており、実用化までには大幅な解像度の改善が見込まれています。
昨年9月にはFDA(米国食品医薬品局)から深刻な症状の治療または診断ソリューションを提供できる可能性のある医療機器に与えられる指定である「Breakthrough」認定を受けるなど、世界中でBlindsightへの期待が高まっていると言えるでしょう。
📚 参考情報
- ・脳インプラント成功例1: 「ヒトへの脳インプラントに成功したマスク氏のNeuralink--実用化への遠い道のり」
- ・脳インプラント成功例2: 「Neuralinkの脳インプラント手術を受けた四肢マヒ患者が『マリオカートなどのゲームを考えるだけでプレイ可能になった』という術後100日レポート」
- ・脳インプラント成功例3: 「ニューラリンク、2人目の脳インプラントに成功=マスク氏」
- ・脳インプラント成功例4: 「Neuralinkの新たな成功 - 声を失った患者が再び話せるようになる」
- ・Blindsight情報1: 「イーロン・マスク、ニューレリンクの人工視覚補助装置『Blindsight』の人間への移植を2025年末に予定」
- ・Blindsight情報2: 「イーロン・マスクは2025年末までに視覚障害者向けの初の人工視覚チップを埋め込むことを望んでいる」
📑 まとめ
さて、今回の記事では去年から話題になっている開発中の新技術「Blindsight」についてご紹介しましたが、如何だったでしょうか。
LUCAが実証/購入した商品・サービスについてご紹介することの多い本サイトの記事としては少し変わった構成になっていたかと思いますが、「人工視覚」とも称されるBlindsightの仕組みや今後の可能性について、上手くお伝えできていれば幸いです!